スタートアップ立ち上げて今こうやっている。

スタートアップを始めるのに意外と重要ではない20の事柄と最も重要な2つの事【btrax】
http://media.looops.net/btrax/2013/09/24/startup/

なんかこんな記事があったので、終わらないC++コンパイル時間の暇つぶしに、うちはこうだったということを書いてみる。

何やっているの?

弊社では、声でしゃべるだけで家電とかいろいろを操作することができる音声認識のホームコントロールハードウェアを作っています。
特徴は、マイクまで1m〜2mの範囲という広範囲で動作して、声でしゃべるだけで動くというところです。
http://rti-giken.jp/


これを使うと、手ぶら音声認識でホームコントロールできます。


こだわりの設定をしたい人のためにjavascriptエンジンを内蔵しているので、javascriptで家電を自在に制御できたりもします。
javascript内臓エディタも搭載しています。Ctrl + Tab補完とかも搭載しているぜ。


スタートレック2001年宇宙の旅とかのSFを実現したい人から、自堕落な生活を送りたい人、そして、身体が不自由な方の生活をサポートする環境制御装置としても活躍しています。


開発規模ですが、メイン部分で5万行ほどで、外部ライブラリとか入れると、50万行以上ありそうかな?、そろそろ一人で管理するのはしんどくなってくるところですが、元気があれば何でもできるそうなので、がんばって開発しています。



さて、スタートアップを始めるのに意外と重要ではない20の事柄と最も重要な2つの事【btrax】について振り返っていきたい。
http://media.looops.net/btrax/2013/09/24/startup/

>スタートアップ立ち上げ時にはあまり重要ではない項目

> 1. 企業/プロダクト名:

rti技研 / フューチャーホームコントローラー
社名は無駄に悩んだ。

ネットでどうしようって聞いたら、さくらたんハァハァカンパニーでいいじゃないとか適当なことをいう人がたくさんいたw
その中で知人がハンドルネームの rtiを使って、 rti技研 でいいじゃないといってくれてそうなった。

製品名も、少しだけ悩んで、フューチャーホームコントローラーにした。
結局、未来のホームコントローラーだから、フューチャーホームコントローラーでいいんじゃねってことで決めた。
共に、googleで検索して他にヒットしなかったのでこれに決めた。

ただ、長すぎた。
フューチャーホームコントローラーと書くのはつかれる。
もう少し短い名前にすればよかった。

あまりに長いので、いつもFHCと略して読んでいる。
ただ、FHCだと、ちょうどやっていた Facebook Hacker Cup とかぶつかったりしてタイムラインの皆様には不評だった。

もうちょっと短く書きやすい名前のほうがいいと思った。
twitterとかに書きやすい短い名前にするべきだ。

スタートアップの99%は潰れるから、潰れるかもしれないものにハンドルネーム入れるとかっこ悪いよなーっておもっていたんだけど、人は、他人の失敗をずっと記憶しておくほど暇じゃないはずだから、気にしないことにした。
ずっとm9(^Д^)プギャーしているほどみんな暇じゃないでしょ?

結局、適当に命名して、後で軌道に乗ってきたら名前を変えればいいんじゃないかと思った。
世の中、名前を変えた会社なんてたくさんあるんだしね。

> 2. 最適なドメイン名:

http://rti-giken.jp/ が空いていたのでそれにした。
.comとかはもう古いかなーと思って、.jp にした。どこまで意味があるかは謎。

この超いけている会社.comらしいよー うわー古っとかいう人と、
この超いけている会社.jpらしいよ。素敵抱いて!! いう人とか実在するのかなぁ?

ドメイン名なんてなんでもいいんじゃないの?

> 3. 素敵なロゴ:


知り合いのデザイナーが素敵なロゴを作ってくれた。
知り合いというか、前の職場の同僚というか、SF仲間というか、飲み仲間というかというか・・・?
やっぱり人の縁は大切だと思った。

> 4. 法人組織:

ハードウェアの設計部分を外注したので、その支払があったので、仕方なく法人化した。
ソフトウェアは僕がいくらでも作れるからいいんだけど、ハードはよくわからない。
ハードウェア初心者の素人が適当に作ってトラブったら嫌でしょ?
だから、外に出した。ただ、外注とのやりとりは本当にいろいろと大変だった。涙なしには語れない。
(この辺の洗礼は、みんな通るところらしい)

会社組織を作る前から、研究開発は行っていたし、ただ支払が必要だったから作ったという感じだろうか。
一応、決算月だけは、混む6月とかを避けるのと、 現在の月数+12か月を初決算日(1期をできるだけ長く)というのだけやっといた。

今回、合同会社ではなく株式会社にしたのは、当初は出資をいただこうかと思っていたこともあり、株式会社にした。
それに、株式会社ってやったことないから楽しそうだと思った。

設立の書類だけがさっぱり分からなかったので1万円の代行業者に定款作ってもらって、公証人にアポ取ってもらって、法務局で登記した。ただ、これだったら、次からは自分でもできそうだと思った。社印は、2000円ぐらいで激安で作れるところで買った。

結局、この手の手続きは、業者使わないで、いきなり関係役所に飛び込んで行って、よくわかんないんで教えて下さいって言えば、たいてい教えてくれるものだ。
問題は、どこにいけばいいかわかりにくいということだろう。
だけど回るルートはすでに決まっているんだから、それさえあれば、相手が暇そうな時間に押しかけていって、すごく申し訳なさそうな顔してわからないので教えて下さいといえば、タダで教えてくれる。みんな親切な人たちだ。
(会社設立の場合、定款を適当に作って、公証人役場いってから、法務局にいけばいいっぽい。)

そう思ったので、経理は自分でやっている。決算も自分でやった。
税務署とかには、作った貸借対照表損益計算書もっていって、申告書類のすべて空欄で、書き方わかんないから教えて下さいっ。っていったら、親切丁寧に教えてくれた。

>5. 銀行口座:

当初は私の個人口座でやっていた。
特に何の問題もなく取引できていたww
この事については、特にクレームをいってくる人もいなかった。
驚くことに、誰もが名前を知るちゃんとした企業とかも、構わずに製品を購入してくれた。
フシギダナー


こうなってくると、法人口座の信用力ってなんですか?食えるんですか?と思ってる。

ただ、維持費かからずに開けるところもあるみたいだったので、半年たってから、ゆうちょ銀行で法人口座を開いた。
ゆうちょ銀行にしたのは、維持費がかからず、開くのが楽で、ネットからトレードできて、うちの近所に大きな郵便局があるためだ。
また、法人設立から半年以上たっていると、なんかめんどくさい書類の一部が要らなくなるみたい。
(マネーロンダリングとかの関係で、法人口座開設は、結構厳しくなっているみたいだ。)


最初、楽天銀行で開こうと思ったら、他のリアル銀行に法人名義で口座がないと開けないよって追い返された。
ゆうちょ銀行で口座が開けたので、それを根拠に他のところで開いてもいいけど、口座管理面倒だしなあ・・・

ただ、振込手数料とかのユーザーの利便性もあるから、どこかの都市銀行で開いてもいいんだけど、たいていの都市銀行は口座維持手数料が高いのが何点だ。
たいていユーザーが使っていそうな大規模な銀行の法人口座は維持費がとても高い。
だったら、ゆうちょ銀行でもいんじゃね。って思ってる。
ゆうちょ銀行の限界の取引額が1000万円超えるなら、他の銀行も考えるけど、今はこれでもいいと思ってる。
早く、取引額が1000万円超えてリッチになりたい。

>6. オフィス:

まさに、賃貸住居兼オフィスである。
ここは、自分の年齢より年寄りの団地である。
今これを書いている後には寝床があるw テラ一人暮らし。
うちはソフトウェア・ハードウェア開発業だから、これでも十分だ。

法人化して何かデメリットあるのかなーとか思ったけど、変なチラシは殆ど来ない。
特に旗とか出しているわけでもないので、売り込みもこない。とても平和だ。
また、電話は会社でもっていないことになっているのが大きい。電話を公開すると凄まじいテレアポ営業が来るみたいだし。
電話はスパムフィルターで消せないので、電話非公開、住所とメアド公開でやればいいと思う。
電話がないと、電話帳にも乗らないため、さらに営業も来なくなる。


驚くことに、こんな状態でも、テレビ取材が何件かあった。
WBSクルーもテレ朝クルーもNHKクルーも来てくれた。海外放送(NHK WORLD)にも出た。
http://www.tv-tokyo.co.jp/mv/wbs/trend_tamago/post_39327/

自分の年齢より古い団地の一室だけど、何の問題もないみたいだ。
逆に、古い団地の一角からスタートするのが、日本のスタートアップなんじゃないかな?

世界よ、これが日本のスタートアップだ。金ピカのオフィスに卓球台がなくてもスタートアップなんだぞ。参ったか。

効果なオフィスは必要ないらしい。
人を雇うとなると、オフィスも必要なんだろうけど、そんなカネないし、これでいいと思った。
もし、人を雇っても当分リモートだろうし、それでもダメになったらなった時に考えるみたいな。


お金は使うとなくなるので使わない方向でいきたい。

>7. 所在地:

今は、千葉にいる。海浜幕張の一つとなりの駅だ。

リーマンやっていた頃は浅草あたりにいたが、独立してからは、千葉にいる。
理由はぶっちゃて家賃が安いからだ。
それに、ハードウェア開発となると広い作業場を確保したいということもあるけどね。


ただ、千葉に引っ越してきたのは失敗したと思っている。
東京でやったほうが良かった。
理由は、都内まで電車一本で出れるが時間とカネがかかる。往復すると3時間〜4時間かかる。
元々引きこもり体質なので、知人や友人とも合わなくなった。技術コミニティともやや疎遠になった気がする。

人とかかわるところにチャンスがあると思う。
千葉に引きこもり、人と関わりを断つようなことをしたのは失敗だった。
いつか、東京に戻りたいと思う。


なんか、人は一人では生きていけないっぽいよ。

>8. 家具:

自分家だから特別何かあるわけではない。

>9. 卓球台:

フハハ、こやつめ

>10. ファウンダー同士の持株比率に対する細かな計算:

だから一人だって

>11. 機密保持契約書:

ねーよ

>12. 著名になる事:

著名になるより顧客とお金がほしいです >_<

>13. 外部とのミーティング:

来る者は拒まずなのでwelcome状態。

だけど、千葉だからか、あんまり訪ねてくる人がいない。
うちにくるとダイエットコーラーだったら無限に飲めるようにストックしてあるのに、ほとんど誰も飲みに来ない。
悲しい。

うさぎじゃなくてよかった。

>14. 専門家からのアドバイス:

ネットで知り合った人たちからいろいろアドバイスを受けた。

と、いうのも、今回扱ったのが、音声認識で、普通のマイクで1m〜2mの長距離でも動いて、常時音声認識をして間違って認識すると大変なことになるという、とてもチャレンジングな課題だったからだ。

弊社のフューチャーホームコントローラーに搭載された音声認識は、ホームコントロールをするのでもマイクから1m〜2mほど離れても、認識しないといけない。
そして、開始スイッチ無しなので、常に音を分析し、耳を澄まして命令を待ち続けないといけない。
さらに、このホームコントロール音声認識は、絶対に間違ってはいけない。


日常ではさまざまな会話が交わされる。
電話の声やテレビの声、会話などだ。フューチャーホームコントローラーはその音で間違って動いてはいけない、
もし、間違って動くと、大変なことになる。例えば、電話していたら電気が消えた!!みたいなポルターガイスト現象がおきてしまうのだ。だから、間違って動いてはいけない。絶対に。
だけど、評価値を厳しくすると、今度はなかなか動いてくれないただの箱になってしまう。


この問題にさらに難しさをプラスしているのがマイクまでの距離である。
マイクから離れれば離れるほど、音は減衰して、ノイズがのってしまう。


だから、曖昧な音でも動作させないと、ユーザから見ればただの箱とみなされてしまう。
だけど、曖昧な音で動作させると暴発の可能性がある。

フューチャーホームコントローラーは、その暴発と安全のギリギリにある狭いゾーンに当たりの矢を打ち込まないといけない。
それも、Arm CPUというPCから見れば遅い処理系を使って。

これはとても難しい。高速に処理をしながら、狙った小さな的に矢を射るなんて「やぶさめ」をやっているようなものだ。
僕はフューチャーホームコントローラーの音声認識処理を電脳流鏑馬とよんでいる。

と、このような電脳流鏑馬を発明しなければいけなかったので、いろいろな人の意見を聞いて、たくさんの試行錯誤を行った。
その結果、発見したある素性を利用して、なんとかできたのが、今のフューチャーホームコントローラーがある。


技術的に無理と言われるほど燃えるタイプなもので、つい発明をしてしまった。
発明は時間を浪費するので、やらないほうがいい。
だけどエンジニアだからついやっちゃうんだ。

>15. スタートアップに関する記事:

うちのパクリが出てこないか?という一点だけで見てる。

>16. 最新のソフトウェア/テクノロジー:

C++11で書いた。
ラムダ式便利だし。

それ以外はあまり興味はない。
Variadic templateとかmoveとかconstexprとかはどうでもいい。今はあまり興味が無い。
僕は、Modern C++ Designを読むと頭が痛くなって死ぬかわいそうな人なので勘弁して下さい。おながいします。

>17. 投資家:

投資家には話を聞きに行った。
そもそも、「投資家を説得できない人が、顧客を説得できるわけねーだろ」と思っていた。
結局、投資はちょっと待ってくださいよとお願いさせてもらって、今は100%自己資本でやっている。


そのうち、どっからか調達できればいいなとは思うけど、事業を1年やって、今だに微妙な位置にあるので困ったところだ。
むー

>18. A/Bテスト:

興味ない。
これは分母がでかくないと意味が無いと思う。
分母がでかければN%完全して数億円の価値があるのかもしれんけど、分母が小さいなら意味ないよなあ。
ビッグデータとかにも同じことが言えると思う。

>19. 常勤スタッフ:

そんなカネねーよ。

>20. デザイン:


ロゴをデザインしてくれた、知り合いのデザイナーが手伝ってくれた。
とてもいいものができたと思う。感謝している。


>最も重要な2つの事

>1. ユーザーに求められるプロダクト:

求められていたら嬉しいなあ・・・

>2. ユーザーの獲得:

どうやったら、ユーザーって獲得できるんですか?
それがいちばん知りたい。

と、いうか、当たり前のことだよな。ユーザを獲得してプロダクトが自走しているなら、投資は必要ないし、オフィスを豪華にすることもできるだろう。
ユーザーをどうやって獲得するのかがいちばんの問題だ。

まとめ。

・お金かけずに株式会社はできます。
・役所関係でわかんないことは、とりあえず窓口に出向いて行って、申し訳なさそうな顔して聞くとタダで全部教えてくれます。
・ボロいオフィスだけど取材はなぜかされます? オフィスの綺麗さとの相関性はなさそうです。
・引きこもり体質の人は都心にいないとダメです。人との出会いがチャンスを開きます。たぶん。
・お金は使うとなくなります。
・結局、ユーザに求められるプロダクトを作って、ユーザーの支持を得ていくのが大切なんだけど、それができれば誰も苦労はしてないよね。
・どうすれば、ユーザーの支持を集められるか誰か教えてください。

世界よ、これが日本のスタートアップだ。